「またよかったら遊びにきてください!」
そう言われてから少し経った、ある平日の休みの日。
私はBMWの車検見積もりの為、ディーラーに向かっていた。
提示された見積もりを見て「思っていたより高いな・・・。」
正直、こう思っていた。
この車に大きな不満があるわけではなかったが、これまで二度
不具合を経験していた。
一度目は停車中にアイドリングが不安定になり、二度目はエンジン
警告灯が点いたまま消えなかったのだ。
どちらの不具合も大事には至らず、コンピューターの初期化とセンサー
の交換で対応。
保証期間内であったため、費用はかからなかった。
それでも・・・保証が切れた後のことや、ワインディングを走っている
最中のトラブルを想像すると、少し信頼性に欠ける思いもあった。

見積もりが思ったよりも速く終わったので帰り道、例のセールスに試しに
連絡をしてみると「今日はめちゃくちゃ暇なので、ぜひ遊びに来てください」
と、軽やかな返事が返ってきた。
時間つぶしのつもり。
それと、少しだけーーボルボ・カーズの世界観を確かめてみたくて。
私はボルボディーラーへと車を走らせた。
ショールームに足を踏み入れた瞬間、先ほどまでいたBMWのショールームとは
全く違う空気感を感じた。
BMWがどこか宇宙船のドックのような雰囲気だとすれば、ボルボのショールームは
対照的で、どこか温かみがあり、まるでリビングにいるかのような落ち着きがある。
久しぶりに再会したセールスと近況を話しながら、ボルボの特徴を一通り聞かせてもらった。
「パンフレットもらえますか?」
そう尋ねると、「環境保護の観点から、うちはペーパーレスなんです」
こんな答えが返ってきた。そういって手渡されたのはウェブカタログのQRコードだった。
なるほど・・・こういうところにも、このブランドの『らしさ』が表れている。
ショールームにはXC40・EX40・C40・XC60といったモデルが並んでいた。
売れ筋はやはりSUVが中心なのだろう。
その中で一台、目にとまったモデルがあった。
VOLVO V60
最初に浮かんだ言葉は「美しい」の一言だった。

派手さはない。
それでも、線のすべてが整っていてスタイリッシュでどこか品がある。
今、国産車で流行っているオラオラ感がまったくない。
気がつけば自然とその車だけをみていた。
その時、セールスがふと声をかけてきた。
「もしよかったら、試乗してみますか?」
今日はただ、見るだけのつもりだったのに・・・。
(つづく)



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